あらすじ
20歳の美容専門学校に通う女性あぐりは、山口県から上京し都内でアルバイトしながら学校へ通う日々、母親が山口の田舎で美容院を営み学費を出していた。あぐりの家は父親が早くに他界し母親が二人の娘を育て上げた。妹のアツコは、まだ、高校生で地元山口の高校へ通っている。あぐりは卒業後、山口へ帰り母親の美容院を手伝うべきか悩んでいた。同級生の多くは都内の有名なヘアサロンやネイルサロンへの就職が主だ。そんな、ある日、あぐりは、ふと、いつもとは違う帰り道を通ってみた。急な登り坂の脇に立っていた石碑に刻まれたネイル坂という名前を見て思わず笑った。石碑の裏には慶応元年と記されていた。江戸時代についた名前がネイル坂なんてあり得ないと、あぐりは首をかしげた。そんなあぐりの姿を見た宅配便の制服を着た男が驚いた様子で逃げるかのように今来た道へ戻り始めた。その様子に釈然としないあぐりは、後をつけた。男は細い路地へ入ると勢いよく走り去り、あぐりは見失ってしまった。だが、近くに飛脚屋という宅配便の配送センター目に入った。先ほどの男はこの飛脚屋の制服を着ていた。躊躇なく建物の中へ入ると誰もおらず、さらに奥へ進むと多くの荷物が積まれた部屋の先に大きな扉があり、目の前に立つと扉は自動で開いた。一歩、足を踏み入れた瞬間、意識がもうろうとなり気がつくと江戸時代にタイムスリップしていた。だが、あぐりがその事態に気づくまでには少し時間がかかった。