あらすじ
義母の介護を始めて五年。
パートと家事の合間を縫いながら、高橋美咲は認知症の義母・和子を支えてきた。
夫の浩一は仕事が忙しく、介護の多くは美咲の肩にのしかかっている。
そんなある日、夫の幼馴染・真由が義母の世話を手伝うようになる。
料理を作り、通院に付き添い、義母の話し相手になる真由。
義母は真由が来ると嬉しそうに笑い、時には美咲よりも心を開いているように見えた。
助かっているはずなのに、心がざわつく。
真由は何も悪くない。
夫も悪くない。
義母も悪くない。
それでも美咲は、自分だけが取り残されていくような寂しさを抱えてしまう。
「ありがとう」と言いたいのに言えない。
感謝しているのに苦しい。
介護の疲れ、老いていく親との別れ、そして血のつながりを超えた人との絆。
これは、誰も悪くないからこそ苦しい日々の中で、自分の本当の気持ちと向き合っていく一人の女性の物語。