あらすじ
「里に辿り着いて、生きて帰ったのは、後にも先にもトウヤさまだけなんだよ。」
女王陛下の命を受け、黒の騎士トウヤは、タオレの森へ向かった。
行方不明になった青年を探すために…。
不老不死の女王アタルガが統治するこの国のはずれには、死を意味するタオレの森と呼ばれる深い森がある。
その森の奥に、月白の里という集落があり、神話のように美しい容姿の一族が隠れるように暮らしていた。
行方不明の青年は、各国を渡る粗暴な旅商集団ウルギネアの長の息子だった。
父であるウルギネアの長、ヨウショウに命じられ、月白の里の場所を探すため、タオレの森に踏み入ったのだ。
トウヤはかつて、たった一人でこの深い森に足を踏み入れた時のことを思い出す。
同じように父に命じられ、月白の里を探すためにタオレの森に入った時のことを…。
今では、この国の女王直属の臣下である黒の騎士トウヤだったが、トウヤ自身もヨウショウの息子であり、行方不明になった青年はトウヤの弟であった。
「どうして里から出て来たりしたんだ!せっかくあの時、俺が…。」
深い森の中で、トウヤが再び出会ったのは、もう二度と会うことのないはずの、月白の里のナギだった。