あらすじ
触れた物に宿る念を、鈴は読んでしまう。死者が最期に味わった痛みも、人が胸に秘めた想いも、手のひらが勝手にすくい上げる。物の怪憑きと蔑まれ、捨て子の下働きとして生きてきた十五の娘だった。
ある朝、亡くなった老女中の荷から、見覚えのない貝細工の櫛が出てきた。雨の夜に若い女が赤子を託す、古い記憶とともに。——この子の血筋を、決して誰にも。
同じ櫛を、城から来た侍が探していた。
役立たずと疎まれた娘は、絶えたはずの一族の最後のひとりだった。忌まれた力が、やがて喪われた血の謎を解いていく。
和風 × 貴種流離譚 × 謎解き。丁寧に紡ぐ、遅咲きの成り上がり。