あらすじ
伯爵家の婚外子であるアレンは、幼い頃から嫡男レオンと共に育った。
立場は違えど二人は親友であり、剣を交え、競い合いながら成長してきた。アレンには幼なじみの婚約者エミリアもいる。決して恵まれた立場ではなかったが、それでも彼は努力を重ね、自らの価値を証明しようとしていた。
そんなある日、伯爵が魔物の毒に侵され余命わずかと宣告される。
誰もが次期当主は嫡男レオンだと信じていた。しかし伯爵が任命したのはレオンではなく、婚外子のアレンだった。
――当主代理として。
周囲はそれを次期当主指名だと受け取り、レオンは次第に追い詰められていく。一方アレンは、与えられた責務に応えようと仕事と剣術に没頭し、大切な人たちの心の変化に気付けなかった。
やがて伯爵は亡くなり、親友レオンはエミリアと共に姿を消す。
残された手紙には、彼女の妊娠と駆け落ちの事実が綴られていた。
父を失い、親友を失い、婚約者までも失ったアレン。
絶望の中で開封された伯爵の遺書は、誰も知らなかった真実を明らかにする。
それは、誰も選ばれていなかったという事実と、不器用な父が二人の息子へ遺した最後の愛の言葉だった。
これは、全てを失った青年が父の想いを知り、本当の領主へと成長していく物語。