あらすじ
翔は小劇団「トーテムポール」に所属する新人役者だった。
次回公演で初めて役をもらい、ようやく舞台に立てる――はずだった。
しかし翔の胸には拭えない不安があった。
それは、自分が実力で選ばれたのではなく、“チケットノルマ”のために役を与えられたのではないかという疑念だった。
役者に役が付けば、背負うチケット枚数も跳ね上がる。
慢性的な資金不足に苦しむ小劇団「トーテムポール」にとって、それは切実な問題だった。
そんな翔を支えてくれていたのが、先輩役者の芳樹だった。
芳樹は翔を演劇の世界へ導いてくれた恩人でもあり、誰よりも翔の才能を信じてくれていた。
ある日、その芳樹から突然こう告げられる。
「銀行強盗をやるぞ」
それは劇団の未来を懸けた“計画”だった。
計画を立てたのは、杉並警察署捜査一課長・小橋。
劇団OBでもある小橋は、貧乏劇団を救うため、自ら危険な賭けに出ようとしていた。
「絶対に劇団には迷惑を掛けない」
その言葉を信じ、翔たちは計画に加わっていく。
一方、銀行員の裕子は、計画の標的となった銀行に勤めていた。
平凡で退屈な日々を送っていた彼女にとって、高校時代に想いを寄せていた芳樹との再会は、止まっていた時間を動かす出来事だった。
そして作戦決行の日。
銀行に現れた芳樹は、裕子の知る優しい先輩ではなかった。
狂気すら感じさせる“銀行強盗”としてそこに立っていた。
さらに事態は、誰も予想しなかった方向へ転がっていく。
翔たちの前に、もう一人の銀行強盗が現れたのだ。
演技と現実。
計画と暴走。
嘘と本音。
全てが入り乱れるカオスの中、本物の銃声が響く。
撃たれる劇団員。
奪われる現金。
崩壊する計画。
そして翔は、逃走した銀行強盗を追うことになる。
だがその先で翔が知る“衝撃の事実”は、さらなる混乱の幕開けに過ぎなかった――。
これは、銀行強盗事件を描いた物語ではない。
夢を諦めきれない役者たちと、
不器用な大人たちが、
人生という舞台の上でもがき続ける物語。
『ショー・マスト・ゴー・オン』
幕が上がったなら、もう止まれない。