あらすじ
世界は滅んだ。
神話級モンスターの襲来により、人類最強と呼ばれたSクラス探索者たちは全滅。凡人が死に物狂いの努力で到達できる限界――Bクラス探索者だった天野蓮も、瓦礫の下で死を待つしかなかった。
二十年間、蓮は才能の壁に阻まれ続けた。HP、MP、攻撃、防御、敏捷、器用。どれだけ鍛えても、測定値はBの範囲を超えない。唯一の固有スキルは、二十年間ずっと文字化けしたままの【■■■■】。効果不明、発動条件不明の産廃スキルだった。
だが、蓮が息絶える寸前、そのスキルが初めて真名を明かす。
――固有スキル【不退転の回帰】。
目を開けると、そこは二十年前。まだ世界が壊れる前の高校の教室だった。
直後、全人類に異能が発現する“ファースト・インパクト”が始まる。手から炎を噴く生徒。岩のように硬化する教師。自らの氷の魔力で凍りつく少年。誰もが自分の力の正体も、使い方も、危険性も知らない。
しかし、蓮だけは知っていた。
この時代にはまだ存在しないステータス測定基準。魔力経路。身体強化。魔法の適性。才能の伸びしろ。そして、未来で人類最強と呼ばれる天才たちが、なぜ完成しないまま死んでいったのかを。
蓮自身の基礎能力は、あくまでBクラスの凡人限界。竜や巨大ボスを単独で倒す火力はない。
それでも、人型相手なら話は別だ。
二十年分の死線で磨いた体術、魔力運用、予備動作読み、そして変質したスキルによる三秒前への死線回帰。才能に頼らず生き延びるためだけに削り上げた技術は、まだ力の使い方を知らない天才たちにとって、理解不能な“神域”に見えた。
「才能があるだけじゃ足りない。使い方を知らなきゃ、天才でも死ぬ」
未来の氷帝。
極光の魔女。
まだ誰にも見つかっていないS級の原石たち。
これは、才能限界のBクラス探索者だった男が、未来で敗北した天才たちを二十年前から鍛え直し、世界滅亡の結末そのものを書き換える物語。