あらすじ
人はいつか死にます。
それはあまりにも当たり前で、誰もが知っていることです。
けれど、その当たり前を本当に理解しながら生きている人は、案外少ないのかもしれません。
明日の予定を立てること。来週の約束をすること。
それは、「自分も相手も、その時まで生きている」と信じているからできることです。
本当は、明日さえ約束されていないのに。
それでも私たちは、「また今度」「また来年」と口にします。
この物語は、殺した側と、殺された側の物語です。
被害者と加害者。許す人と許される人。
そう簡単に分けられるものではなく、もっと曖昧で、もっと矛盾した感情の中で、人は生きているのではないかと思いました。
大切だった人を失っても、その人のことだけを考えて生きていくことはできません。
残された人には、お腹が空く日があります。
笑ってしまう日があります。
そんな自分を責める日もあります。それでも季節は巡ります。
それは残酷で、そして少しだけ優しいことなのかもしれません。
この物語に、正解はありません。
誰かを許すべきだとも、許さなくていいとも言えません。
忘れることが愛なのか、忘れないことが愛なのかもわかりません。
ただ、読み終えたあとに、あなたの中にひとつでも問いが残ってくれたなら。この物語は、あなたの中で続いていくのだと思います。
どうか最後まで、蓮と透の歩いた季節に付き合っていただけたら嬉しいです。