あらすじ
晴れを祈ることが、こんなに怖いとは思わなかった。
聖女アメリアは、雨を止める力を持っている。
けれどその力は、いつも誰かの願いを叶えるためのものだった。
自分の寂しさを、選んでいい日はなかった。
長雨に苦しむ辺境へ向かった彼女は、そこで黒い狼と出会う。
その狼こそが、辺境伯ノアだった。
彼は強い雨の夜だけ、人の姿に戻れる。
領民は晴れを待っている。
アメリアも、聖女として晴れを祈るべきだった。
けれど雨の夜だけ、ノアは彼女の前で言葉を持つ。
優しい声で礼を言う人。
痛みを隠して、誰かを守る人。
寂しいのに、寂しいと言えない人。
雨が降れば、彼に会える。
晴れを願えば、彼は声を失う。
それでも彼のために、アメリアは何を祈るのか。
雨の日だけ咲く花を手にした聖女は、最後に誰の願いを選ぶのだろう。