あらすじ
通り魔に刺されて死んだ女子高生・結木日和(ゆうき・ひより)が目を覚ますと、そこは石造りの処刑台の上だった。
身につけているのは見覚えのあるドレス。眼下の群衆が叫んでいる名前は、自分のものではない。「悪魔の取り巻き、エルナ・ロウェル」——それは、彼女が死ぬ直前まで読んでいた長編ライトノベル『白百合の咎(とが)』に登場する、第一巻のたった三ページで処刑される 悪役令嬢の腰巾着、モブA の名前だった。
(私、続きを読めずに死んだのに……処刑される側に来るのは、さすがにひどくない?)
絶望する日和の視界に、ふいに 見慣れない文字列 が浮かび上がる。それは、向かい合う若き王太子 クラウス——原作のメイン攻略対象の、心のなかで紡がれる 「地の文」 だった。
【彼女は震えている。──震えるな。私が決めたことだ。あの薄い肩に、罪はないと知っているくせに。】
王子様は、彼女が無実だと知っている。 それでも処刑を命じる、その理由は——。
読みかけで終わったはずの物語の 「結末」を、日和は今、自分自身の命で読むことになる。 心の声を読む少女と、心を読まれる王子の、運命の逆転劇(ざまぁ)。