あらすじ
ブラック企業で心をすり減らし、過労の末に命を落としたプロジェクトマネージャー・ルカ。
次に目を覚ました場所は、剣と魔法の異世界――そして数か月後に崩壊が確定している最悪の冒険者ギルド『鉄血の牙』だった。
そこは、王国最強の冒険者たちが集まる一方で、書類は山積み、討伐報告書は未提出、恋愛トラブルでパーティは空中分解、ギルドマスターは仕事を放り出して酒場へ逃げるという、救いようのない無法地帯。
しかも原作の知識によれば、このギルドは国の陰謀に利用され、仲間同士の不信と財政破綻によって滅びる運命にあった。
戦闘能力ゼロ。
魔法も使えない。
そんなルカの武器はただ一つ。
前世で叩き込まれた、
「進捗管理」
「業務改善」
「会議運営」
「人間関係の交通整理」
だった。
「まず、議事録を作ります」
その一言で、血みどろの乱闘が止まる。
「進捗どうですか?」
最強の戦士が青ざめる。
「感情論は議事録に残りません」
恋愛で揉めるパーティが、なぜか仲直りする。
冷徹で、無表情で、誰よりも人を壊さない事務員。
彼が作ったのは、最強の戦闘集団ではない。
安心して帰ってこられる居場所だった。
これは、バッドエンド確定の荒廃ギルドを、たった一人の一般人が「仕組み」と「優しさ」で立て直していく物語。
ただし本人の望みは、ただ一つ。
――今日こそ、定時で帰りたい。