あらすじ
不祥事で社会的信用を失った生命保険会社。
数字だけを追い続けた果てに、一人の顧客を深く傷つけてしまった営業社員・羽川輝は、罪の意識を抱えながら会社に残り続けていた。
会社は「再生」を掲げる。
だが時が経つにつれ、組織は再び売上至上主義へと回帰していく。
そんな中、羽川の前に現れたのは、会社の理念を本気で信じる新人社員・青山美咲だった。
要領が悪い。
数字も上がらない。
それでも彼女は、お客様の話を聞き、草取りを手伝い、生活に寄り添い続ける。
その姿は、かつて羽川が失った「正しさ」そのものだった。
やがて二人は気づく。
問題は個人の資質ではない。
誰も見ていない場所で行われる営業そのものに、歪みが潜んでいるのだと。
組織に従うか。
信じる道を貫くか。
追い詰められた二人に残された時間は、わずか三十日。
これは、巨大な組織に立ち向かった英雄の物語ではない。
どこにでもいる二人の営業社員が、「見て見ぬふり」をやめるまでの物語だ。
その声は小さい。
けれど確かに、未来へ届く種になる。