あらすじ
ご提示いただいた内容を基に、物語の魅力や緊迫感を伝えつつ、ミステリーとしての核心的な謎や中盤以降の展開(第二の事件や容疑者の拘束など)のネタバレを極力控えた紹介文(あらすじ・登場人物紹介)を作成しました。
本の帯や裏表紙、あるいは作品の紹介サイトに掲載されるようなイメージで構成しています。
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作品紹介
【あらすじ】
雪深い信州の山奥に、しんとした品格を保ちながら佇む重厚な洋館「四神舘(ししんかん)」。
東西南北、春夏秋冬を司る霊獣の思想に基づき徹底して設えられたその舘に、美術鑑定士の神宮寺涼と、その助手である和久井結が足を踏み入れる。
舘の当主であり、莫大な資産を動かし続ける老人・久遠寺重蔵が二人を呼び寄せた目的――それは、美術品の真贋ではなく、「本物の悪意というものを見定めてほしい」という不可解な依頼だった。
折しも舘には、遺産相続を巡って冷たい火花を散らす重蔵の子供たちと後妻が集まっていた。一触即発の空気の中、翌朝、悲鳴が舘を駆け抜ける。窓が一つもなく、内側から完全に施錠された「画材庫」の中で、重蔵が刺殺体となって発見されたのだ。
豪雪による雪崩で峠は塞がり、警察が到着するまでには少なくとも三日。逃げ場のないクローズドサークルと化した四神舘で、涼と結は現場に残された微小な違和感から、舘に潜む恐るべき計画と「悪意」の正体に迫ろうとする。しかし、それは凄惨な事件の幕開けに過ぎなかった――。
【登場人物紹介】
◆ 神宮寺 涼(じんぐうじ りょう)
美術鑑定事務所を主宰する美術鑑定士(32歳)。冷静沈着で、卓越した観察眼を持つ。重蔵から「本物の悪意」の鑑定を託され、警察の来られない舘で不可解な密室殺人の謎に挑む。
和久井 結(わくい ゆい)
涼の助手(26歳)。元古文書の修復師見習いで、紙やインク、指先の感覚など、職業柄の鋭い着眼点を持つ。人懐っこい性格だが芯が強く、涼の頼れる相棒として事件の違和感を拾い上げていく。
◆ 久遠寺家の人々
久遠寺 重蔵(くおんじ じゅうぞう)
四神舘の当主(82歳)。元製糸業者から不動産や美術品蒐集で巨万の富を築いた、眼光鋭い老人。明日の遺産相続話し合いを前に、何者かに殺害される。
久遠寺 蒼一郎(くおんじ そういちろう)
重蔵の長男(40代半ば)。神経質そうな細面で、自身の商売が上手くいっていないという噂がある。父親に対して複雑な感情を抱えている。
久遠寺 朱美(くおんじ あけみ)
重蔵の長女(40代前半)。元舞台女優。華やかで気丈に振る舞うが、父親や後妻の美咲に対して強い反発心を隠そうとしない。
久遠寺 白彦(くおんじ しろひこ)
重蔵の次男(38歳)。美術品の管理を任されている、穏やかな微笑みを絶やさない青年。趣味で絵を描くほか、冬場には「氷彫刻」を手がけるという一面を持つ。
久遠寺 玄子(くおんじ はるこ)
重蔵の姪であり養女(25歳)。美術史を専攻する大学院生。物静かで表情が乏しく、舘の人間とは距離を置いているように見えるが、同じ「紙」を扱う結にはわずかに心を許す。
久遠寺 美咲(くおんじ みさき)
重蔵の後妻(30代後半)。結婚して5年。美しい容姿を持つが、応接間に集う誰よりも冷徹な目を崩さず、舘の枠組みから一歩外れた異質な存在感を放つ。
♦使用人
坂東(ばんどう)
久遠寺家に長年仕える忠実な家令。重蔵に対して「絶対の服従」を誓っており、その口調にはどこか異様な粘度が混じる。
多恵(たえ)
坂東の妻であり、四神舘の家政婦。舘の家訓や歴史に深い敬意を払い、実直に給仕をこなす。