あらすじ
無線、電脳、バーチャル。
何でも“手ぶら”で済む時代。
そんな未来で、俺は有線ケーブルを売っている。
人と人を直接繋ぐための回線。
最近はレトロブームで、割と繁盛していた。
「有線って、二人だけって感じが良いですよね」
恋人と繋がるための専用回線。
雑音に興奮する男。
推し活のために配線を隠したくない主婦。
誰もが“誰かと繋がる”ために、有線を求めていた。
土曜の夜。
店を閉めた俺は、いつものようにプラグを繋ぐ。
そして、ケーブルの向こうから聞こえる幼い声と会話する。
『もしもし。糸電話屋さんですか?』
世はファイバー・パンク。
これは、未来の糸電話屋の話。