あらすじ

六月の終わりの鎌倉。 高校生の水野透は、現代文教師の杉原夏帆の授業を待つようになっていた。 夏帆先生の言葉は、教科書の文章をただの文字ではなく、 人の体温を持ったものに変えてくれる。 進路希望の空白を責めずに受けとめてくれたこと。 私物の本を貸してくれたこと。 雨の日、同じ傘の下で淡い虹を見上げたこと。 先生に会うと、うれしい。 先生に会うと、苦しい。 けれどその感情に、透は名前をつけられなかった。 恋と呼ぶには近づけず、 憧れと呼ぶには痛すぎた。 そして夏の終わり、江の電の車内で透は言ってしまう。 「先生に会うと……苦しいです」 叶わなかった。 でも、なかったことにはならなかった。 鎌倉の夏に残された、名前のない初恋の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/06/23
  • 現在の作品名前をつけないまま、夏が終わった