あらすじ
公爵令嬢ヴィクトリアは、王太子ユリウスの婚約者として、彼の失態を裏で支え続けてきた。
だが建国記念夜会の場で、ユリウスはヴィクトリアの妹フロランスを抱き寄せ、「姉より妹のほうが可愛い」と婚約破棄を宣言する。
会場が凍りつく中、フロランスは涙を浮かべてヴィクトリアを見上げた。
王太子はそれを、姉に怯える可憐な妹の姿だと思い込む。
けれど、その涙は恐怖ではない。
しつこくまとわりつく男に触れられた、生理的嫌悪の限界だった。
「お姉様、よろしいのですか?」
「お好きになさい」
姉の許可を得た妹は、王太子の腕を振り払い、満座の前で言い放つ。
「お姉様を笑うような男の妃になんて、死んでもなりません」
自分を悲劇の姫を救う英雄だと思い込んでいた王太子は、その夜、姉妹の絆も、未来の妃も、周囲の信頼も、すべて失うことになる。