あらすじ
「お前は、隣にいても守られてる気がしない」
そう言われて婚約破棄された瞬間、わたしは胸の徽章を素手で引きちぎった。
知らないんだろうな。あんたの茶に何回毒が入ってたか。寝所に何回刃が仕込まれてたか。届く前に全部ぶっ潰してきたのが、この「可愛げのない女」だってこと。
その夜、王太子の城に忍び込んできた殺し屋は、わたしを見てこう言った。
「お前、殺す気がないな」
ええ。わたし、人が殺せないんですよ。
「腕は確かだ。うちに来るか。お前を飼わない国だ」
「いく」
──守ることしか知らない女と、殺すことしか知らない男の話。