あらすじ
放課後、午後四時半の文芸部室。
大の仲良し5人組の中学生は、未発売の新作RPG『アニマ・ムンディ』のテストプレイヤーに選ばれ、五感ごと仮想世界へとログインする。
しかし、息をのむほど美しい草原の先で彼らを待っていたのは、「ログアウト不可」というお決まりの絶望だけではなかった。
画面に表示された、世界を維持するための残酷な『仕様(システム)』。
それは、プレイヤーがひとりデリート(死亡)するごとに、そのステータスと特殊能力が、生き残った仲間に「乗算」されて強制的に引き継がれるという、最悪の等価交換だった。
ひとり死ねば、残された者は2倍強く。2人死ねば、4倍強く。
生き残るほどに、少年は世界を両断するほどの「無敵のチートキャラ」へと換装されていく。だがその力は、昨日まで何より大切だった親友たちの「命の残高」そのものだった――。
現実世界のスクールカースト、些細な嫉妬、そして極限の恐怖が、5人の絆を内側から生々しく侵食していく。
鬼頭莫宏の遺伝子を継ぐ、最も乾いていて、最も痛切な、14歳のゲーム転生ディストピア、堂々開幕。