あらすじ
多種族都市の中心部で小さな店を営む青年オルゼンは、大商会のように大量の商品を扱うわけではない。
彼が売るのは、少し珍しい仕入れ品と、朝昼夜に十個だけ作る限定料理。
料理用にも使える青塩、遠方から届いた乾燥果実、安く仕入れた端肉を使った夜限定のそぼろ瓶。
どれも派手な品ではないが、使い方と売り方を変えれば、客の心を掴む商品になる。
そんな店を支えるのは、帳簿も接客も完璧な猫族のクィナスと、料理と食材知識に長けた熊族のボルガム。
二人はよく喋り、よく働き、そしてどこか普通ではない過去を隠している。
役所勤めの才女ナギルカをはじめ、店を訪れる客たちは今日も悩みや噂や小さな事件を持ち込んでくる。
だがオルゼンは剣を抜かない。
商人として、品の価値を見極め、人の流れを読み、売り方ひとつで問題をほどいていく。
これは、小さな店から広がっていく、異世界商人の日常と商売の物語。