あらすじ
水原薫の胸には、すべてを奪った異母姉・神条冴子へのドロドロとした憎悪が渦巻いていた。
姉を一番残酷な方法で叩き壊すため、薫は冴子が蝶よ花よと育ててきた年の離れた義妹・白雪紡に目を付ける。
完璧な「清楚で優しい先輩」の仮面を貼り付け、蜘蛛の巣を張るように紡へと近づく薫。
しかし、その純真無垢な瞳と温もりに触れた瞬間、薫の計画は狂い始める。
それは、復讐の道具だったはずの少女を「自分だけの毒で満たしたい」という、狂気的な独占欲への変質だった。
強引に紡を侵食していく薫。だが、恐怖に怯える紡が助けを求めたのは、彼女の前に現れたもう一人の庇護者――紡が密かに片思いをする正統派の王子様、千歳碧だった。
「紡に近づくな。あんた、化け物の目をしてる」
薫の本性を見抜き、紡の盾になると誓う碧。自分から逃げ回り、男の手を取る紡の姿をガラス越しに監視していた薫の目は、完全に光を失っていく。
姉への復讐から、目の前の男という「毒虫」の排除へ。一人の少女を巡る、女と男の歪んだ略奪戦の幕が上がる――。