あらすじ
薔薇色の月が昇る夜。
侯爵令嬢エルゼヴィーラ・ローゼンヴェルは、王太子エリアスとの婚約を正式に発表されるはずだった。
誰もが羨む未来。
美しい王宮、優しい婚約者、何不自由ない王太子妃の座。
けれどエルゼヴィーラは、その完璧な幸福の中に、自分の鼓動がないことを知っていた。
婚約発表の直前、彼女は庭園の奥で一人の奇術師と出会う。
薔薇を燃やし、月に変えた男。
軽薄で、不躾で、危険なほど退屈ではない男。
彼に導かれた夜の劇場で、エルゼヴィーラは王宮に隠されたある秘密を知る。
守られる未来か。
燃えるように不確かな夜か。
白薔薇の令嬢は、薔薇色の月の下で初めて選ぶ。
誰かに与えられた幸福ではなく、自分の鼓動が鳴る方へ。