あらすじ
行く当てもなく南の島にたどり着いた青年・洋介は、あき兄い親子の営む民宿に迎え入れられる。
東京で板前として働きながら、毎年夏になると島へ戻ってくるあき兄い。五十を過ぎても独身で自由奔放な彼と、人生にどこか距離を置いて生きる洋介。年の離れた二人は、不思議な縁で同じ屋根の下に暮らし始める。
ぶっきらぼうなのに世話焼きなあき兄い。
口うるさいのに温かいあき兄いの母。
他人だったはずの二人に囲まれながら、洋介は少しずつ島での暮らしになじんでいく。
しかし洋介には、人には言えない過去があった。
そんなある日、島を訪れた姉妹との出会いをきっかけに、洋介は閉ざしていた心を開き始める。そして島に残る戦争の記憶に触れ、自分が生きていることの意味を見つめ直す。
血のつながりだけが家族ではない。
傷を抱えた人々が寄り添いながら紡ぐ、ひと夏の再生の物語。