あらすじ

時は平成 バブルがはじけ、世の大人が楽観視していたあの時代。 非力な少年の家は、安住の地ではなかった。 わしが向かったのは、血の繋がりもない「理解のある人」の家だった。 よその家の玄関の匂い、遠慮がちに上がる座敷 テレビのチャンネルを「ビデオ入力」に切り替え、三色ケーブルの先にある十九インチの画面が立ち上がる時、少年はようやく本当の呼吸を取り戻す。ゲームの起動音、ブラウン管の熱気――。その小さな電子の光だけが、少年時代のわしにとって唯一の避難所であり、聖域だった。 子供たちの社会もまた、決して優しいだけの場所ではない。 「乞食」と蔑む声 セーブデータを消したことで訪れる絶交 二度とやり直しが効かないリセットボタンひとつで壊れてしまう脆い人間関係のなかで、わしはゲームをさせてくれる家を探してコントローラーを握りしめ、自由で気楽な大人になるまでの時間に逃避行を続ける。 少年期をテレビゲームの光とともに振り返る、実話回想エッセイ小説。

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カクヨム
カクヨム2026/06/22
  • 現在の作品他生の縁の居候 十九インチの逃避行