あらすじ

一九四二年、八月二十三日。ドイツ空軍の大爆撃により、スターリングラードは一瞬にして燃え盛る地獄へと化した。 ドイツ国防軍ナチス軍の若き最精鋭・ハインリヒは、ヒトラーユーゲントからナチスの英才教育を受け、極限状態でも完璧な生存戦略を弾き出す冷徹な戦闘機械としての鎧をまとっていた。しかし、その内面には、へし折ることのできない真っ当な人間としての芯が致命的に残っていた。 崩壊した工場、迫り来るソ連軍の戦車と白兵戦の嵐。英仏からの同時局地的攻撃。狂気と飢餓のなかで人間性を摩耗させていく身内の将校、そして怯える新兵のクルツ。ハインリヒは、己の中の「倫理」を守るために、皮肉にもナチスから教わった「最も卑劣で残虐な手段」を駆使して理不尽な戦場を生き抜こうとする。 これは、史上最悪の巨悪の軍服をまといながら、ただ人間として生き残るために泥水をすする兵士の、終わりなき矛盾と絶望の独白である。

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カクヨム
カクヨム2026/06/22
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