あらすじ
【久々に帰省した実家の梔子の香りと、夢で見た白魚のような手】
同級生の結婚式に向かう駅の雑踏。
廉士郎は友人の翔太と、ぽつんと置かれた黒いスーツケースを見つけた。
中から聞こえる奇妙な音。
廉士郎は思い出す。
久々に帰省した実家の庭に咲いていた、梔子(くちなし)の花。ねっとりと甘ったるい香り。不吉な予兆のような、白魚のような美しい手の夢。
どこにでもある風景。どこにでもありうる状況。それなのに、世界はぐにゃりと歪み、鮮血のような赤い霧が駅を覆い尽くしていく――。
日常のすぐ隣にある、理不尽で言語化できない怪異を描く不条理ショートホラー。