あらすじ
最果ての村には、絶対に開けてはいけない扉があった。
その奥に封じられているのは、三千年前に世界を恐怖させた最悪の吸血鬼。
親を失い、村の中で居場所を持てずに生きてきた少女イロハは、ある夜、村を襲った外の者たちから逃れるため、その禁じられた扉を開いてしまう。
封印から目覚めた吸血鬼クルムは、村の者と外の者たちを皆殺しにする。
そして、生き残ったただ一人の人間であるイロハを殺さなかった。
理由は、彼女が彼にとって唯一の“食料”だったから。
怯えながらも生きるためにクルムと旅を始めるイロハ。
人間を憎み、世界そのものを拒んできたクルム。
最初は食料と捕食者でしかなかった二人は、失われた人間を探す旅の中で、少しずつ互いの孤独を知っていく。
崩れた建物、読めない標識、残された生活の跡、遠くに連なる灯。人類は本当に滅亡したのか。なぜ世界は壊れたのか。そして、吸血鬼とは何だったのか。#
やがてイロハは知る。
クルムが“災厄の吸血鬼”と呼ばれるようになった理由を。
彼が復讐に堕ちた過去を。
そして、彼が本当は誰よりも、帰る場所を失った存在だったことを。
これは、世界を憎んだ吸血鬼と、世界に捨てられた少女が、終わりの先で居場所を見つける物語。