あらすじ
平凡な会社員・藤崎恒一は、ある雨の夜、少女をかばって命を落とし、“リベルタース”という異世界へ渡る。そこは勇者や王女、魔術師たちの物語が無数に存在する世界だったが、近ごろはどの物語も結末を迎える前に途切れ始めていた。勇者は剣を抜けず、王女は戦う理由を失い、復讐者は憎しみを手放してしまう。そんな“続きを失った世界”で、恒一は案内人エイルから「物語をつなぐ役目」を託される。
彼の役目は、自ら英雄になることではない。物語の中心にいる誰かのそばに立ち、迷いや恐れで立ち止まった主人公たちが再び前へ進めるよう支えることだった。最初に訪れた滅びゆく辺境都市では、勇者として選ばれながら剣を抜けなくなった少年と出会い、その背中を押すことになる。以後も恒一は、滅亡寸前の王国、内乱に沈む帝国、海に沈む島国など、さまざまな“終わりかけた物語”へ送り込まれていく。
やがて彼は、物語の断絶が偶然ではなく、“結末そのものを拒む何者か”の意思によるものだと知る。なぜ自分が選ばれたのか。案内人エイルの正体とは何か。そして、他人の物語をつなぎ続ける恒一自身の人生には、どんな結末が待っているのか。これは、誰かの続きを守りながら、自分自身の続きを見つけていく異世界転生ファンタジーである。