あらすじ
<あらすじ>
西暦2178年。
かつて人類が築き上げた文明は、緩やかな衰退の時代を迎えていた。
都市は残っている。
人々も生きている。
しかし失われた文化、朽ちていく建造物、忘れられていく景色は増え続けていた。
それらを記録し、未来へ残すために設立された組織――
青雲観測機構(Bluesky Observation Agency/BOA)
所属する放浪偵察員たちは各地を巡り、環境や文化、人々の暮らしを調査・記録している。
BOA所属の放浪偵察員サイラスも、その一人だった。
冷静な観察眼と優れた記録技術を持つ彼は、世界各地を巡りながら失われゆく景色を記録する日々を送っていた。
そんなある日。
北部廃線区画の調査任務中、彼は一人の旅人と出会う。
ミレア。
組織には所属せず、自らの意思だけで世界を旅する女性だった。
偶然の出会い。
数日だけの同行。
そのはずだった。
しかし二人は気付く。
同じ空を見ていたことに。
同じ景色を美しいと思ったことに。
そして、失われゆく世界を未来へ残したいという願いを共有していたことに。
やがて二人は共に旅を続けるようになる。
それが数週間なのか。
数年なのか。
それとも人生の終わりまでなのかも知らないまま。
蒼穹の下を歩き続けた二人の旅路は、やがて一世紀近い歳月へと変わっていく。
これは――
世界を記録した旅人と、
その隣を歩き続けた旅人の、
長い人生の記録である。