あらすじ
ランツは死に
そしてナラカへ落ちた。燃やさず、叫ばず、ただ見せる地獄へ。何度も何度も、同じ顔を、同じ手を、同じ瞬間を。やり直すことも、忘れることもできない瞬間を。
外では十五年が過ぎた。
内側では千年。
これは、言い訳が尽きたとき、しかし時間だけが残ったとき、人間に何が起きるかという物語だ。たくさんの時間が。果てしないほどの時間が。
そして千年ぶりに、地獄から頼みごとを持ってやってきた者たちに対して自分が興味を持っていると気づいたとき、どうするかという物語だ。
『菫の夜』 を読んだ者なら、彼をランツとして覚えているだろうあの物語の主人公。若く、鋭く、暗い瞳と、さらに暗い選択を持つ男。あのとき、彼の物語は終わったように見えた。あのとき、結末がすべてを説明したように思えた。
説明していなかった。
※ 前作の知識は必須ではない。しかし読んでいればもう少しだけ、深くわかる。