あらすじ

公爵令嬢エルフリーデの献身は、誰の目にも映らない。夜会の席次をそっと直し、危うい沈黙を一言で埋め、来賓の顔をすべて立てる——その名もない気配りで、王家の社交と外交儀礼は静かに回っていた。だが婚約者の王太子は彼女を「気の利かぬ地味な女」と侮り、華やかな伯爵令嬢へ乗り換える。エルフリーデは取り乱さず、礼を尽くして静かに身を引いた。 彼女がいなくなった夜会は、誰も次の一言を継げなくなる。傾いた沈黙を埋める者が、もういない。やがて来賓接待は綻び、外交の小さな破れが続いた——けれど彼女は、何もしない。すべては人づてに、余韻として届くだけ。 そんな彼女を静かに迎えに来たのは、かつて若い日の宴で作法に迷い、彼女のそっとした一言に救われていた、誠実で堅実な辺境伯だった。気を張らずに笑える初めての関係を、二人はゆっくり育てていく。

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カクヨム
カクヨム2026/06/22
  • 現在の作品「気の利かぬ地味な女だ」と捨てられた公爵令嬢——その夜会から、誰も次の一言を継げなくなった