あらすじ

昔からぼうっとする時間が好きだった。空も眺めず、地面も見下ろさず、かと言って正面を見据えることもせず──ただ、胡乱とした空気を吸うのが好きだった。何かをしなければという強迫から、なんとか逃げ出した先にあるふわふわな空気に身を沈めるのが好きだった。そしてそれは多分、今私の目前で、本のページを読みもせず一定の間隔で捲り続けている彼女も、そうなんだろうなという気がした。  彼女の名前は坂下智美。私と同じ高校一年、鶴を模した形の海無し県に住む花の女子高生である。髪は肩ほどまで伸びていて、それを青色のシュシュで一纏めにしている。そのシュシュよりも若干薄い青色の眼鏡をかけており、姿だけを写真で切り取れば立派な文学少女に見えてくる。  そんな彼女とのなんでもない日々が私の普通になるまでの話。

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カクヨム
カクヨム2026/06/22
  • 現在の作品特別と普通に振り回される少女たち