あらすじ
王太子主催の夜会。
その夜、公爵令嬢エリザベート・ローゼンヴェルクは、王都中の貴族たちの前で断罪されるはずだった。
美しすぎる悪女。
毒薔薇。
男を惑わせ、令嬢たちを泣かせ、王太子の心を縛った女。
誰もが、彼女が崩れる瞬間を待っていた。
けれど、現れたエリザベートは泣かなかった。
怒りもしなかった。
許しを乞うこともなかった。
ただ、余りある美貌をまとい、微笑んだ。
彼女へ向けられる憎しみも、嫉妬も、欲も、恐れも。
そのすべてが、やがて彼女を裁く刃ではなく、彼女を飾る炎へと変わっていく。
断罪の夜。
悪女と呼ばれた令嬢は、誰のものにもならないまま、王国中の視線を奪う。
これは、赦されるための物語ではない。
救われるための物語でもない。
悪役令嬢が、自らに与えられた名を、もっとも美しく着こなす夜の物語。