あらすじ
「不治の病さんへ ——太陽と月に照らされて——」三部作 紹介文
中学の交換日記、たった一行の誤解からすべては始まった。
「啓介くんがそうしたいなら、してもいいよ」
夏美が書いたその言葉を、啓介は違う意味に受け取り、逃げた。十四年の歳月をすり抜けながら、二人はそれぞれの人生を歩み、やがて再会する。
第一部「消しゴムさんのバカ。もう寝ない。」は夏美の視点。動けなかった十四年と、再会から結婚までの記録。LINEの大混乱の奥に、ずっと消せなかった想いが眠っている。
第二部「不治の病さんへ。」は啓介の視点。同窓会の準備の中で知らされる、ある人の死。一度も登場しないその人が、物語の中で最も重く、最も優しく残る。ノートの端の一文がタイトルを回収するとき、逃げ続けた男の成長が静かに閉じる。
第三部「正面突破。」は、もう一つの世界線。美月が啓介と結ばれていたら——。15歳で恋を知り、いじめに正面突破し、20歳で白血病と向き合う。分析しても解けない感情の中で、彼女は誰かの幸せのために自分の答えを差し出し続ける。
三つの視点、三つの結末。同じ始まりから、まったく違う場所へ辿り着く三人の女性と、変わらず不器用な一人の男。
これは、すれ違いと選択の物語。そして、それでも前を向く人々の物語。