あらすじ

【深夜1時、名前も知らない『お兄さん』と私の、30分間のモラトリアム】 「しっかり者のお姉さん」という都合のいいレッテルを貼られ、会社で理不尽にすり減る毎日を送るOLの私。 限界を迎えた夜、私が逃げ込む場所は、街の片隅にある24時間営業のコインランドリーだった。 乾燥機が回る、わずか30分間。 そこで毎日、全く同じ時間に遭遇する、スーツ姿の寡黙な『お兄さん』。 彼はいつも同じ微糖の缶コーヒーを飲み、いつも同じ、少し端の擦り切れた一冊の恋愛小説を読んでいた。 お互いの名前も、仕事も、何も知らない。 だから私は心の中で彼を『お兄さん』と呼び、彼は私のことを『お姉さん』と呼ぶ。 ただそれだけの、他人の関係。 けれど、乾燥機が回る無機質な音と、彼がページをめくる微かな紙の音、そして差し出される缶コーヒーの温もりだけが、ボロボロになった私の心を無条件に宥めてくれた。 名前を知らないからこそ、一番素の自分を見せ合える。 このまま、この穏やかな時間がずっと続くと思っていた。 ――あの夜、彼がベンチに一冊の文庫本を置き忘れていくまでは。 それが、私たちの「名前のない30分間」が静かに狂い出す始まりだった。 本に隠された秘密。彼が毎晩そこにいた本当の理由。 そして、徐々に狭まっていく二人の距離の先にある、残酷なカウントダウンとは……? すり減った日常の隙間で、私たちは確かに救い合っていた。 大人の、苦しくて、愛おしい、名前を持たないラブストーリー。 「お姉さん、僕が毎晩ここにいた理由、本当は気づいてたでしょう」

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エブリスタ
エブリスタ2026/06/21
  • 現在の作品『君の洗濯物が乾くまで』