あらすじ
『昨日の私に、今日のコーヒーを。』
昨日の私は、
失くしたものばかり数えていた。
うまくいかなかったこと、
言えなかった言葉、
もう戻らない時間。
朝になっても心は重くて、
窓の外の青空さえ、
少しまぶしすぎた。
それでも、
湯気の立つコーヒーを両手で包む。
苦い。
少し酸っぱい。
でも、
飲み終えるころには、
胸の奥の氷が、
ほんの少しだけ溶けている。
人生は、
昨日を消すことはできない。
けれど、
昨日の私に、
今日の私が
温かい一杯を渡すことはできる。
「よくここまで来たね」
そう言って、
また明日へ歩き出す。
コーヒーの香りを、
胸いっぱいに吸い込みながら。