あらすじ
海辺の島で暮らす、難病でアルコールに溺れる父と、その介護に疲弊する家族。長女である「姉」は、家族との複雑な関係や自分自身への嫌悪感に苦しみ、実家から逃げるように一人で暮らしていました。
ある日、姉はかつて祖父と訪れた立ち入り禁止の高台から足を滑らせ、転落死してしまいます。そして、異臭を放つ彼女の遺体を発見したのは、放置された古い自転車を見つけ、近くで秘密基地を作って遊んでいた無邪気な子供たちでした。
物語は、凄惨な現場を目撃して友人を失った少年、姉を自殺に追い詰めたのではないかと後悔する妹、家族を罵倒しつつも孤独に苛まれる父、そして絶望の中で「人生の意味」を問い続けた姉自身の視点が交差しながら進んでいきます。
人々の絶望や後悔が連鎖する中、動けなくなった彼女が最期に線香の煙越しに見た「ひどく美しい」景色とは。バラバラに見えた彼らの記憶と運命が、ひとつの残酷な結末へと収束していく群像劇です。