あらすじ
ある老人は、ボロボロの観測ノートを開き、かつて存在した「ベジタブル七大都市」の滅亡記録を語り始める。
レタス・シティは「前進」だけを正義とし、振り返ることを禁じた結果、自らの勢いで破滅した。
キャベツ・シティは「過去への執着」を極端化し、時間そのものを巻き戻した末に自滅した。
トマト・シティは「停止」を安全と信じ、完全静止の果てに機能を失った。
キュウリ・シティは「回避」を極め、あらゆる問題を横へとスライドさせ続けた。
ナス・シティは「跳躍」によってすべてを飛び越え、やがて地上から消えた。
ポテト・シティは「地下への逃避」により完全に世界から隔絶された。
そして最後に現れたニンジン・シティは、「座ること」こそ究極の正解とし、すべてを放棄した。
だが、いずれの都市も共通していたのはただ一つ。
――「過去から学ぶこと」と「極端に信じ込むこと」を、取り違えていたということ。
老人はただ記録する。
滅びの形を変えながら繰り返される、人間的な過ちを。
これは、正しさを極限まで突き詰めた世界の、滑稽で皮肉な滅亡記録である。