あらすじ

主人公の乾拓海(いぬいたくみ)は東京の雑居ビルの地下二階で「海還り」と呼ばれる特殊な現象を起こす道具を修理する修理屋を営んでいる。「海還り」とは、道具が持ち主の情念や執着、そして土地の湿気に中(あ)てられ、道具そのものが海の生態系と混ざり合ってしまう現象である。拓海の工房に持ち込まれるのは、深海魚の声を受信してしまうラジオ、潮が満ちる腕時計、真珠を産むミシンなどのワケありな道具ばかりであり、それらを修理する拓海の体には、少しずつ「異変」が進行する。 拓海は地上での「普通の生活」を夢見ながらも、自分の仕事や生き方について考え、迷い、自分なりの答えを探す。 【登場人物】 ◇乾拓海(いぬいたくみ) 海還りした道具を修理する「タクミ堂」を営んでいる。大学卒業後、大手建築事務所への就職が決まっていたが、ある出来事がきっかけで海還りした道具の修理屋になる。常に「こんな地下から抜け出して、地上で普通の生活がしたい」と思っている。 ◇汐織(しおり) 拓海の大学時代の恋人。拓海が修理屋をしていることを知らない。

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カクヨム2026/06/21
  • 現在の作品東京水底修理報告書