あらすじ

隅田川花火大会の夜。 二十四歳の会社員・高橋健太は、川の中に立つ無数の人影を目撃する。 焼け爛れた顔の少女。 ずぶ濡れのまま夜空を見上げる老人たち。 そして誰にも聞こえない声。 ――また来年。 花火大会の翌日から、健太は街のあちこちで亡者の姿を見るようになる。 不思議な老人との出会いをきっかけに、彼は隅田川と花火大会の歴史を調べ始める。 江戸時代の飢饉と疫病。 関東大震災。 東京大空襲。 川に刻まれた数え切れない死者たちの記憶。 やがて健太は知る。 花火は単なる娯楽ではなかった。 それは三百年にわたり受け継がれてきた、死者を忘れないための祈りだったのだ。 これは、花火の光に導かれながら、過去と現在、生者と死者を繋ぐひと夏の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/06/21
  • 現在の作品花火は死者のために打ち上がる ―また来年、花火の下で―