あらすじ
「一ノ瀬家は才能に恵まれているね」
周囲からそう評される双子の姉・陽子は、努力もせず名門高校への推薦入学をあっさりと決めた。
影の中で泥を啜るように勉強を続ける妹・ひまりは、誰にも言えない劣等感と闘いながら、今日も孤独な夜を明かしている。
唯一の心の支えは、小学生のときに離れ離れになった男の子がくれた、古いお守りだけ。
「ひまりは一生懸命だから、大丈夫だよ」
そう笑ってくれた彼との約束を信じ、ひまりは「才能」という綺麗な言葉で塗りつぶされそうな自分の努力を証明するために、たった一人で一般入試という壁に挑む。
そして迎えた春。
名門高校の合格発表の先で待ち受けていたのは、あの頃よりも大人びた彼の姿だった。
かつてひまりのひたむきさに惹かれていた彼との、運命の再会。
光の中にいたはずの姉と、影を歩き続けた妹。そして、二人を繋ぐ過去の記憶。
これは、才能を持たない少女が、自身の「芯」を証明するために戦う、成長と再会の物語。