あらすじ
黒い封筒に触れた瞬間、子爵レイモンド・フォン・グライゼンは自分の未来を思い出した。
魔王と契約して人類を裏切り、最後は勇者に成敗される。
どうやら自分は、王道RPG『セブンス・セブン』に登場するチュートリアルの悪役貴族らしい。
――あ、詰んだわ。
戦って未来を変える?
無理無理無理。前世でも今世でも、一度もまともに戦ったことなんかない。
ならば答えは一つ。
将来、自分を殺すはずだった原作主人公ユリスを鍛え、代わりに魔王を倒してもらおう!
「力が欲しいか――? 若人よ」
悪役らしく不敵に笑いながら、レイモンドは内心で必死に祈る。
お願いだから強くなって!
そして俺を守って!
ところが、剣を渡せば伝説の師匠と崇められ、魔王へ命乞いの手紙を書けば底知れぬ策士と恐れられ、村人へ減税を約束すれば全てを見透かした黒幕扱い。
本人は死にたくないだけなのに、なぜか周囲の評価だけが暴走していく。
これは、小物な悪役貴族が保身のために原作主人公へ媚びた結果、稀代の英雄として祭り上げられてしまう勘違い師匠譚。