あらすじ

ここは、神の裁きも、魔法の奇跡も、超常の力も存在しない世界だ。 生まれながらの「天命の主人公」はいない。ルールを破壊する「チート能力」も存在しない。異世界からの転生者もいなければ、突如として現れた謎の超古代文明もない。 すべてを決定づけるのは、物理法則、化学反応、生物進化、地質運動、気候循環、そして——人間が自らの手で築き上げた制度、経済、信用、文化、社会秩序だけである。 大陸と海洋の配置、プレートの衝突と移動が、山脈を生み、平野を広げ、砂漠を乾かし、海を隔てた。太陽光と大気と水と温度が、どこに森林が育ち、どこが凍土に留まり、どこが農耕に適し、どこが遊牧しか許さないかを決めた。 生命は、原始の単細胞から始まり、数十億年をかけて適応し、変異し、淘汰され、進化を繰り返してきた。海から陸へ、爬行から直立へ。そしてついに、複雑な生態系が形作られた——あらゆる種が独自の生態的地位を占め、あらゆる生存戦略が自然の長い選別を通過してきたのだ。 人類の歴史は、決して「英雄叙事詩」だけではない。戦争は剣や銃だけでは決まらない。穀物の収量、輸送路と補給線、通貨の信用、情報伝達の速度、疫病対策、資源争奪——そのすべてが興亡を左右してきた。一度の寒冷化が王朝を覆し、一度の疫病が文明の進路を変え、一本の交易路が都市国家を繁栄させ、一つの金融制度が大陸を跨ぐ交易を支える。 永遠の帝国はなく、恒久の繁栄もない。あるのはただ、与えられたルールの境界内で、適応し、駆け引きし、調整を繰り返す営みだけだ。 この世界は今、人間によって、言葉と口承とデータで、一筆ずつ、一世代ずつ、静かに記録され続けている。

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カクヨム
カクヨム2026/06/21
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