あらすじ

井出克也は芸術一家に生まれた高校一年生。中学時代、幼馴染の安藤想をモデルに制作した映像作品で賞を獲った。が、それを最後に想へカメラを向けることはなくなった。映像制作自体は密かに続けていたが、克也は「自分が評価されたのは想のおかげであって、自分の技術ではない」という劣等感を抱えたまま二年間を過ごしていた。  高校入学直後、同級生の福永紡から「高知に住んでいるおばあちゃんに届ける映像を撮ってほしいの」と依頼をされる。認知症が進む祖母に、自分の姿を忘れてほしくないという切実な願いに胸を打たれ、克也は依頼を引き受ける。だが、そのことを知った想に「映像制作は二年ぶり?」と問われ、克也は思わず「まあ、うん」と嘘をついてしまう。想には映像制作を辞めたと思わレている方が都合がよかったからだ。  紡の映像を撮影する中で、克也は次第に想の言動に違和感を覚え始める。「克也の期待に応えられない」「克也がずっと努力してきたのを知ってる」という何気ない発言が、まるで自分の隠し事を見透かしているように思えた。

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カクヨム2026/06/21
  • 現在の作品井出のカメラ