あらすじ
人類が『能力』を発現してから20年。
世界は大きく価値観を変えた。
能力こそ人間の強さである、と。
炎を操る者。
雷を生む者。
重力を曲げる者。
人智を超えた力は瞬く間に社会へ浸透した。
だが─。人々はやがて理解する。
能力だけでは強くなれない、と。
どれほど強大な能力を操ろうと。
どれほど強力な肉体を持とうと。
能力者もまた、技術に支配されるということを。
そこで復権したのが武術だった。
空手。 柔道。 剣術。 相撲。 古武術。
人類が数千年かけて積み上げてきた戦闘理論は、異能という新たな力を取り込むことで、さらなる進化を遂げた。
能力と武術。
空想と現実の融合によって生まれた新時代の戦士たちを、いつしか人々はこう呼ぶようになった。
『武能者』と。
そして、人々はこの目で見たがった。最強の武能者の姿を。
尽きぬ悪魔の好奇心は、遂に作り上げた。
『闘技場』を。
国家はその存在を公認していない。
即ち、そこでは法律が、常識が、通用しない。
重要なのはただ一つ、『どちらが強いのか』。
鋼鉄の肉体を得ても。
未来予知ができても。
空高く飛行できても。
それだけでは二流にも満たぬ。
能力を技術に換える。
そうであって一流となり得る。
今夜激突する二人の女は、その頂点に立つ怪物だった。
一人は『鉄鮫(てつざめ)』鮫川柔。
一人は『渦蛇(うずへび)』羽生涼。
異能者(マジシャン)同士の戦いではない。
武術家(ファイター)同士の戦いである。
闘技場史上最狂の一戦が、 今、幕を開ける──。