あらすじ
後悔は捨てられる。
人類はそう思った。
だから作った。
後悔保存協会。
好きと言えなかった後悔。
謝れなかった後悔。
会いに行かなかった後悔。
抱きしめられなかった後悔。
人生に刺さったまま抜けない小骨みたいなものを預ける場所だ。
肺がんで余命半年を宣告された六十七歳の三浦誠一も、後悔を捨てに来た。
だが彼は持って帰る。
苦しくても。
重くても。
情けなくても。
なぜならその後悔の中には、二十年前に死んだ妻がいたからだ。
最後の言葉は、
「醤油取って」
だった。
愛してるじゃない。
醤油だった。
そして仏壇の奥から見つかる妻の手紙。
そこに書かれていたのは――
「冷蔵庫の奥にみかんがあります」
人間は後悔する。
人間は未完成だ。
人間は死ぬのが怖い。
でも、だからなんだ。
巨大みかんが時速八十キロで突っ込んでくるかもしれないだろう。
笑って泣いて少し怖い。
後悔とみかんの物語。