あらすじ
「金勘定しか能のない女」――そう言って、婚約者はわたしを捨てた。
四年間、たった一人で公爵家の財政を支えてきた、このわたしを。
いいでしょう。引き継ぎは、いたしません。
あの帳簿を読み解けるのは、この世でわたしだけ。
わたしが抜けた公爵家がどうなろうと、もう、知ったことではありません。
流れ着いた辺境で、わたしを「必要だ」と言ってくれた、不器用な領主様。
生まれて初めて、わたしの価値を正しくわかってくれる人に出会った。
傾いた領地を、わたしは数字の力で立て直していく。
けれど、貧しいはずのこの土地には、誰も知らない「宝」が眠っていた。
そしてその宝が、わたしたちを思いもよらない運命へと導いていく。