あらすじ
遠き古の世より、世界は数多の理(ことわり)によって紡がれ、その秩序は絶対なる調和の下に置かれた。
我らは網目状の歴史を監視し、乱れゆく機微を正すために在る。
然れど、理の外側にて、抗う者どもがいた。
「四方神」の意志か、あるいは偶然の悪戯か。彼らは調和の理を揺るがさんと、人間界の辺境に四つの「種」を蒔き散らした。
それは、神と竜の血を引き、絶望の泥濘(でいねい)より這い上がらんとする四人の孤児。
脆弱なる肉体に宿したるは、世界を焼き尽くす程の熱き魂か、あるいは凍てつく悲哀の器か。
彼らは運命の糸を手繰り寄せ、互いを繋ぎ止め、ただ生き抜くためだけに、「魂依(たまより)」という名の相棒を呼び覚まし、家族という輪を編んだ。
だが、知るよしもない。
その輪の結び目が固ければ固いほど、引き裂かれる時の痛みは、この世界を塗り替えるほどの切なさを孕むことを。
これは、管理されし世界の片隅にて、抗い、傷つき、それでも尚、共に生きることを望んだ四人の若者たちの、忘れ去られし記録である。