あらすじ
桜花(さくらばな)学園では、学年成績の掲示板をいつも独占している三つの名前があった。
暁月 春影(あかつきしゅんえい)、成績以外取り立てて目立たない、ごく普通の生徒。
眼鏡をかけて、髪も適当で、顔が半分隠れているくらいだ。
学校に行って、授業を受けて、チャイムが鳴ったら帰る。
いわゆる「帰宅部」タイプだ。
だが、【家】ではまだ誰も知らない、秘密がある。
瑞木 春花(みずきはるな)、2年1組のクラス委員長。黒い三つ編みの髪に、眼鏡。
控えめで物静かな、真面目な女子生徒。教師やクラスメイトから、よく頼りにされている。
いわば、優等生。
しかし、まだ誰にも知られていない彼女の【顔】には、秘密がある。
二人は、試験の時期にだけ名前が上がる程度で、どこにでもいる生徒だった。
ぼっちというわけでわないが、学校中に顔が広いタイプでもない。
それとは対照的なのが、朝日奈 光雪(あさひなこゆき)。
成績優秀なだけでなく、整った容姿に太陽色の長い髪。
朝日奈 光雪は、極端な言い方をすれば、クラスメイトとの関わり方に偏りがある。
女子には柔らかく接する一方で、男子にはどこか冷たい態度を取る。
言ってしまえば、男嫌い。
そんな少女には、誰も知らない、彼女だけの【思い出】の秘密がある。
普通であれば、そんな男子生徒は誰の口にも上らない。
普通であれば、そんな凡庸なクラス委員は誰の視線も集められない。
普通であれば、そんな男嫌いが、男に寄りかかることなどありえない。
普通であれば、掲示板に名前が並ぶ以外、三人ともお互いに接点はない……はず。
これは、三つの秘密が巡り会い、絡み合っていく物語。