あらすじ

「人間が観測するまで、現実は確定しない」 東京の科学技術中央大学・天文学部に所属する神野透(かみの・とおる)は、不器用な天才物理学者である同級生・篠原葵から、奇妙な真鍮製のカメラを託される。それは、銀塩フィルムと特殊なフィルターを通すことで、現実に選ばれなかった『別の可能性(ノイズ)』を焼き付けることができる量子カメラだった。 ある日、部員たちから激しく憎まれていた大学院生の木島が、物理学棟の非常階段から転落死する。警察は不注意による事故と断定するが、透たちがカメラで現場を撮影して現像したフィルムには、部員六人全員がそれぞれの方法で木島を殺害している「重なり合った可能性の干渉縞」が写り込んでいた。 誰が本物の殺人鬼なのか? 互いが疑心暗鬼に陥る中、接近する長周期彗星の影響で量子的ゆらぎが極大化し、今度は葵が不可解な形で崖から姿を消してしまう。 葵を救うため、残されたフィルムのノイズを頼りに並行世界(パラレルワールド)への入り口を探る透。しかし、真実を追う彼の前に立ち塞がったのは、人間の醜い保身や、他者の痛みを解さないサイコパス、そして「過去の現実すら書き換える」ほどの純粋で狂気的な愛だった——。 観測者が真実を決める。世界が反転する、極上のSFミステリー・サスペンス。

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カクヨム
カクヨム2026/06/20
  • 現在の作品量子論の奇妙なカメラ