あらすじ
「冬青先輩のことが好きです。でも、人と話すのが怖くて」
放課後の部室で、梵墨恋満(ぼんぼく・れんま)は震える声で、夜夢花城(やむ・かじょう)にそう告げた。――それは普通の告白で終わるはずだったのに、思いがけない頼みごとで幕を閉じるのだった。
「お願い……私が冬青先輩に振り向いてもらえるように、手伝ってほしいの」
彼女は、誰もが思わず振り返るほどの美貌の持ち主でありながら、人と目を合わせることさえできなかった。
彼はかつて、まったく目立たない男子生徒だった。憧れの子のために必死に自分を変えようとしたが、結局は失敗に終わった。
梵墨を見たとき、彼は昔の自分を見た気がした――不器用で臆病で、それでも諦めきれなかった、あの頃の自分を。
こうして、残り五か月という期限つきの、不可能に思える作戦が、静かに動き出した。
第一段階:普通に会話ができるようになること。
第二段階:小さなグループに溶け込むこと。
第三段階:あのまばゆいばかりの冬青衛矛(ふゆあお・えぼ)に近づくこと。
――そして、その前に彼を誰にも奪われないようにすること。
「どうしてそこまでしてくれるの? バカじゃないの?」
「たぶんね。君が、昔の僕にあまりにも似ているからさ」
これは、変化と勇気の物語。